語学学校?仕事重視?イギリスワーホリ経験者のリアルなFAQ

イギリスワーホリ(YMS)を希望されている方は、2年間イギリスに滞在できるとあって、
- 何をしよう
- どういう順序でやろう
- どこに住もう
と、夢が膨らむかと思います。
イギリスの場合、便宜上ワーキングホリデーと表現していますが、YMS(Youth Mobility Scheme)は就労ビザの1種です。
よって、語学習得したい人よりも、海外就労に重きを置いている人も少なくありません。
YMS希望者は、ある程度の基本情報は各留学会社等のWebサイトで収集されているかと思いますので、本記事ではYMSの基本を押さえている方向けのFAQ(よくある質問)をご紹介していきたいと思います。
Contents :
- ギリホリのほうが当選しやすいって本当?若いと不利?
- 語学学校は行くべき?午前と午後、どちらのコースにすべき?
- ロンドンにすべき?地方都市にすべき?
- 家はどうする?渡英の前に決めて行くべき?
- 仕事はどうする?渡英の前に決めて行くべき?
- 保険には入るべき?申請時にNHS払っているのに?
- 少しでも稼ぎたい!ダブルワークはOK?
- YMS終わっても長く住みたい!YMS後に再入国できる?
ギリホリのほうが当選しやすいって本当?若いと不利?
YMSの年齢制限である31歳間近でビザ申請を行う方を、ギリギリのワーキングホリデー=ギリホリと呼ぶことがあります。
ギリホリの定義は明確ではありませんが29歳~31歳くらいの方を指してギリホリということが一般的です。
YMSの定員は毎年1000名で抽選制です。
巷では、「30歳直前の応募者は、もう来年のチャンスが無い為優先的に選ばれる」という都市伝説もありますが、あくまでも抽選で選ばれていることに間違いありません。
当選者の発表はUKGOVからメールにて行われますが、ランダムに抽選で選ばれており、18歳~20代前半の方でも当選されていますし、20代後半から数年かけて応募しているにもかかわらず結局当選できないまま31歳を迎えてしまった方もいます。
ちなみにYMSのメールは一人1通となっていますが、中には2通以上送る人や、31歳を超えているのにわざと送る人等もいます。
応募要件を満たしていない人でも当選通知(メール)を受け取ることができたという事象もありますが、実際に申請に進む際には当然パスポートを提示するする必要があるため、申請に進むことはできません。
テストで応募を行ったり、ふざけて2通以上送る等の迷惑行為はお控えください。
- イギリスYMSは就労ビザの1種と冒頭で記述しましたが、就労目的で行く場合は職歴がある方のほうが有利です。卒業したばかりで職歴が無い方でもインターンシップ等を経験の上企業で働く経験を積むことは可能です。日系飲食店等であれば、インターンシップ経験がなくとも雇ってもらうことができますが、いずれにせよ現地で働くことができる英語力は身につけておかれることをお勧めします。
語学学校は行くべき?午前と午後、どちらのコースにすべき?
基本的には、渡英して少なくとも最初の数週間は語学学校に行くことをお勧めします。
もしあなたが、英語力がビジネスレベル有り、現地のホテルに数週間から数カ月宿泊できる潤沢な資金があり、友人からの助言無しで一人で家と仕事を見つけることができるのであれば、語学学校には行かなくてもいいと思います。
いくらあなたが日本語ネイティブの日本人でも、全く知り合いのいない他県で家と仕事を探しなさい!と言われても簡単ではないと思います。
- 家賃や時給の相場は?
- 治安のいいエリアは?
- 家から職場までの交通手段は?
- 現地エージェントはどこがお勧め?
等々、気になる点は国内外問わず同じではないでしょうか?
もちろん日本であれば、日本語で簡単に検索できますし、聞き覚えのある会社や比較サイトが既にいくつかあると思います。
しかしそれをすべて英語で行うとなると、「まずこのサイトって大丈夫?」という所からのスタートになる為骨が折れるのです。
語学学校は1週間からお申し込みが可能で、学生寮ないしホームステイ等の宿泊先も利用できます。
スーツケース転がして慣れない空港からホテルに一人で向かうよりは、空港で運転手さんにピックアップしてもらい語学学校の宿泊先で生活を始めたほうが安心です。
そして語学学校在学中に、土地勘を身に着け、家及び希望の勤務先に目星をつけ、卒業後も一緒に英語を学ぶことができる友人を見つけることができれば、語学学校に支払った学費以上の価値を得られると思いませんか?
なお、語学学校は週20レッスン(1日4レッスン×5日間)のコースが一般的ですが、学校によっては午前と午後で授業を選ぶことができる場合もあります。
午後の授業のほうが値段が抑えられる傾向にありますが、学業と仕事を両立させたい方は、どちらにするか迷われると思います。
午前コースの特徴
・基本的に朝9時頃~13時頃の間で授業が行われる為、放課後の時間を有意義に使うことができる。・午前中の授業は生徒数(クラス数)が多く進学目的の熱心な生徒も多い傾向にある。
・午後に余裕ができる為、放課後は宿題、予習復習、家探し、仕事探しを行うことができる。
・午後~夜まで時間に空きがあると飲食店での仕事が探しやすい。
・午前中に授業が終わると、午後の学校アクティビティにも参加しやすい。
午後コースの特徴
・基本的に13時頃~17時頃の間で授業が行われるため、午前中を落ち着いて過ごすことができる。・午前のコースより費用を抑えられる傾向にある。
・午後の授業は生徒数(クラス数)が少なく、コースの選択肢が狭まってしまうこともある。
・仕事の面接等が午後に入ってしまった場合授業を休まなければならない。
・放課後は飲食店等で夜のシフトに入ることはできるが、夜型生活になってしまうと予習復習ができないまま授業を迎えてしまったり、授業を休みがちになったりと悪循環になることもある。
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午前と午後ではライフスタイルに応じて選ぶことが可能ですが、授業料を安くしたいからと安易に午後のコースを選ぶと、夜遅くまで仕事をする生活になり午後のコースへの参加意欲もなくし、結果的に英語の学習がおろそかになってしまう方が多いです。(コースを終了する前に学校を辞めてしまう方も・・・。)
お金を大切に思うのならば、語学力を身に着けつつ、少しでも効率的に働いて授業料分を取り戻したほうが建設的です。
留学会社に午前中のコースを進められると、「高いコースを押し売りされてる?!」という気持ちになる人もいるかもしれませんが、留学カウンセラーは自分の経験上『この人にはこのコースが合っているだろうな』という善意から進めているということも覚えておいてください。
(もちろん全員が善良なカウンセラーとは限りません!最終的には自己判断にて最良なコースを選んでください。)
- ちなみに私のフランス人の友人(30代男性)は、初渡英時は数週間のみ語学学校に通い、卒業後は就職活動をしながら学校の個人レッスンを予約したり、私を含む英語を勉強している留学生と一緒に勉強をしていました。私たちよりはるかに英語ができるフランス人も、計画立てて就学と就職活動を両立させていました。そして彼は無事にエンジニアとしてロンドンで働いていますよ。
ロンドンにすべき?地方都市にすべき?
都会(ロンドン)にするか、地方都市にするか?というのは皆さん悩まれる大きなポイントではないでしょうか?
好きな都市や思い入れのある都市が複数ある場合も迷ってしまいますよね。
滞在パターンごとの特色を上げたいと思います。
ロンドン2年間の場合 |
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地方都市2年間の場合 |
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複数都市に滞在の場合 |
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- YMSでの滞在の仕方にルールは有りません。よく頂く希望に多いのは「できるだけお金を抑えたい」ということです。英語を学びながら働くことを選択する人もいますが、先に英語を集中して学んでから働き始める方もいます。自分の性格や英語力に応じてライフスタイルや滞在都市を選ぶことをお勧めします。
家はどうする?渡英の前に決めて行くべき?
家探しは現地で内覧(ビューイング)を行うことをお勧めします。
信頼できる友人や知人の家に泊めてもらう場合やルームシェアを行う場合は問題ないかと思いますが、基本的には渡英後に実際自分の目で見てから決める方が良いです。
日本にいる間にしておくべきこととしては、MixbやSpareroom等のサイトでエリアや物件の価格帯をリサーチしておくことです。
実際現地で家探しをしていても、いい物件は先にビューイングに行った人に抑えられてしまうことが多いですし、根気強くリサーチすることと、タイミングを逃さないことが重要なポイントになってきます。
Web上で家探しをする際に気を付けること
- 居住開始可能な時期の確認(どのくらいの期間住めるかも要確認)
- バスルームやキッチンが共有の場合、何人でシェアする物件か確認する
- オーナーが投稿している物件か確認する(違法にまた貸ししている案件もある)
- 家賃にビル(電気、ガス、水道料金等)が含まれているか否かを確認
- 極端に安い価格で出ている場合、必ず何か理由があるのでくまなくチェックする
実際の内覧(ビューイング)で気を付けること
- オーナーの雰囲気をよく見る(オーナーが同居か別居かも確認する)
- シェアメイトの人数やライフスタイル(主な活動時間)を確認する
- 治安が良いエリアか、夜はうるさくないかを確認する
- 遠慮せずにトイレやシャワー等、水回りの使用感をしっかり確認する
- 土足か否かの確認と併せてカビや汚れが無いかを見ておく
その他、調理道具やWifiがついているか等の細かいところも内覧(ビューイング)時に聞いておくとよいですね。
学校や職場への交通手段も併せて確認することをお勧めします。
- 家探しは本当に大変です。騒音や不清潔な環境でも耐えられる方は格安のフラット等がすぐ見つかるかと思いますが、日本のワンルームのように綺麗でプライバシーが守られた環境を探そうと思うと、1ヶ月の家賃は軽く20万円を超えます。学生間で出回ている掘り出し物の物件もあったりするので、語学学校や職場の友人に相談してみるのもいい方法です。
仕事はどうする?渡英の前に決めて行くべき?
仕事も、家探しと同じく現地到着後に探すほうがいいです。
Web上で事前に求人情報を確認の上、渡英前から応募することも可能ですが、やはり現地で先に面接に来てくれた人が採用されるというケースが多いです。
また、極端に時給が良い求人については、オーナーの性格に問題があり離職率が高い職場であることもあります。
安易に給与につられて渡英前から仕事を決めていかないようにしましょう。(退職の通知*Notice periodを1か月前と設定している職場も多く、入ってしまったからにはその期間を終えるまで辞められないというケースもあります。)
【参考記事】
しかし、人材紹介会社を通してオフィスワークを検討している方は話は別です。
英語力が伴っていることが前提にありますが、仕事開始希望日の2,3ヶ月前頃を目安に人材紹介会社に登録するとよいでしょう。
こちらは渡英前からオンラインにて登録ができるため、渡航後すぐに働きたい方にお勧めです。(あまり早く登録しすぎても紹介してもらえる案件がまだ出ていなかったり、現地で先に面接を受けた方に採用が決まってしまうことがあるため、勤務希望日から2,3ヶ月前くらいの登録がお勧めであると、イギリスの人材紹介派遣会社より回答を得ています。)
- 仕事も家も焦って探すのは危険です。仕事はWeb上でも求人情報を見ることができますが、店頭に求人広告を出しているお店にはCV(英文履歴書)を持参の上飛び込みで面接の約束を取りつけることもできます。色々な方法を試してみてください!
保険には入るべき?申請時にNHS払っているのに?
海外旅行保険は任意ではありますが加入しておいたほうがいいかと思います。
YMSの申請の際、NHS(イギリスの国民健康保険)の利用の為にIHSの支払いを2年分行います。
よって、現地でGP(General Practitioner:かかりつけ医)を登録することで、病院の診察は無料で受けることができます。
(プライベートの病院や歯医者はNHSの対象外になります。)
これを聞くと、「病院にタダで行けるのに海外旅行保険に入るのはもったいない。」と思ってしまいますね。
しかし、GPの登録には数日から数週間かかりますし、予約が取りにくい為すぐに診察をしてもらえないことが日常茶飯事です。(大怪我等の緊急時を除く。)
体調が悪い時に病院に行くのは母国である日本でも大変なのに、慣れない土地で病院を探し、英語で病状や病歴を説明し、薬の説明を理解したうえで、もし悪化した場合にはどうしたらいいかを確認するのは、とても重労働だと思いませんか?
できることなら保険に加入しておき、いざというときには日系の病院や、すぐに診てくれるプライベートの病院に行けるようにしておくほうが安心です。
- 実際の渡航者の中にも、借りていたフラットで火事を起こしてしまった人、ホームステイ先で濡れたプラグをコンセントにさしてしまい部屋中のコンセントをダメにしてしまった人、大家さん不在時に数名の友人を部屋に呼びベッドを壊してしまった人等、病気以外で保険を利用することになってしまった人は意外と多いです。
少しでも稼ぎたい!ダブルワークはOK?
YMS中に2か所以上の職場で働くこと(ダブルワーク)は特に問題ありません。
一つ注意したいのは、税金です。
イギリスでも日本の源泉徴収と同様に給料から税金が引かれます。
そしてイギリスでダブルワークをする場合、2か所目の職場の給与から引かれる税金の税率が上がることを覚えておいてください。
給与から税金を多く引かれたとしても、1年間の課税期間中の収入に対して多く税金を納めすぎていた場合は、確定申告(Tax Return)を行うことで税金の還付を受けることも可能です。
しかし、語学学校に行きながら少ない貯金で生活をしている場合は、毎月の手取りが少ないほうが負担に感じることもあるかと思います。
その場合はダブルワークを行うよりも、時給の良い職場や勤務時間が長い職場を探し、1カ所の職場にすることをお勧めします。
- 1カ所目の職場の給与がメインで2カ所目の職場はお手伝い程度という場合は、引かれる税金も大して気にならないと思いますが、1カ所目の給与が少なく2カ所目の給与がメインの場合は、引かれる税金の割合にびっくりしてしまうかもしれません。ダブルワークする際はご注意を!
YMS終わっても長く住みたい!YMS後に再入国できる?
YMSのビザの要件には、原則YMS終了後は母国に帰国、イギリス国内でのビザの切り替えは認めない旨が規定されています(稀にイギリスで配偶者ビザを申請し、日本に帰国せずにそのまま残った人がいる等の話を耳にしたりはしますが、公式の情報としては認められていません。)
参考:https://www.gov.uk/tier-5-youth-mobility
しかし何かしらの理由でYMS終了後も少しでも長く残り続けたい人もいるかと思います。
YMS終了後、フラットに荷物を置いたまま一度帰国し、観光で再入国(査証無しの滞在、6ヶ月)を試みる方もいらっしゃいますが、再入国は意外と厳しいのでご注意ください。
YMS終了後すぐにイギリスに戻ってきた人に対しては、イミグレーションオフィサーの質問も厳しい内容となります。
【例】
・何の目的で再入国したいのか?帰りの航空券は持っているのか?
・どうしてYMSで2年間も滞在したのに、追加で6ヶ月滞在したいのか?
・パートナーがいて、結婚や永住目的での渡航ではないか?
・不法就労等の違法行為の目的があるのではないか?
等々・・・
「イギリスでできた友人の結婚式参加の為」や「フラットを引き払うことができずに出国したので自分の荷物が英国に残っている」等のもっともらしい理由がある場合でも、YMS終了後すぐの入国は認められていないことが多いです。(再入国するには、最低6ヶ月以上間をあける必要がある等と一般的には言われますが、あくまでも移民局の判断となりますのでご注意ください。)
私の場合
今はイギリス入国の際、自動化ゲートが設置されています。「審査官に質問されることなく入国できるからイケるでしょ!」と思いきや、そううまくは行きませんでした。
私はYMS終了からちょうど1年後に、仕事の出張でイギリスに行きました。
アジア人を含むいろんな人種の人達が自動化ゲートを抜けていくのに、私はゲートではねられてしまったのです。
一瞬、自分のパスポートのかざし方が悪かったのかと思い、やり直そうとすると、近くにいたイミグレーションオフィサーから、有人審査カウンターに行くよう促されてしまいました。
結果的に、たった数日の滞在であり、宿泊先も帰りの航空券も全てそろっていたことから何事もなく通してもらえましたが、YMSから1年もたっているにも関わらず、何かしらのチェックは受けるのだなと驚いてしまいました。
- ちなみにYMS後に日本でイギリスの学生ビザを取得するのもハードルが上がります。YMSで2年も滞在したのですから、単純に「英語を勉強したい」という理由ではビザが下りないのは当然ですね。イギリスの大学や大学院進学を目指し、出願要件を満たすための勉学が必要等の明確な留学理由が必要になってきます。